この実験でのマウスの免疫システムは、TLR5の欠乏した状態でも細菌を制御し続けたが、正常な場合と比べて弱く、細菌構成が変化したほか、低レベルの炎症が起こり、インスリン受容体の感受性が弱まった。この結果、TLR5欠乏マウスは、食べる餌の量が正常なマウスより約10%増え、体重も約20%増加、メタボリックシンドロームとなったという。
これは、腸内細菌叢の中で不適当な種類の細菌が勢力を強めると、低レベルの炎症が起き、前糖尿病状態となって食欲が増進されるからだという。
何かと座りっぱなしの生活スタイルや栄養過多な食事が肥満の原因だと云われるが、過剰なカロリー摂取の背景には無規律な食習慣のほかに、食欲や代謝に関与する腸内細菌が関わっている可能性を示すもので、少なくとも一部の肥満については、インスリン抵抗性が原因で起きている可能性があると分析している。
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