JAMA誌電子版に2008年12月9日に報告された、米Texas大学M.D.Anderson癌センターのScott M. Lippman氏らが行った大規模臨床試験の結果によれば、健康な男性がセレン(セレニウム)とビタミンEを摂取しても、前立腺癌やその他の癌の予防には役立たないという。
被験者は、米国、カナダ、プエルトリコの427施設で3万5533人で、アフリカ系米国人男性は50歳以上、その他の人種の男性は55歳以上で、前立腺癌の既往がなく、血清PSA値は4ng/mL以下、直腸指診により前立腺癌の疑いなしと判定された人々とし、大規模無作為化二重盲検試験Selenium and Vitamin E Cancer Prevention Trial(SELECT)を2001年7月より実施し、データ安全性監視委員会が2008年8月1日の時点のデータを対象に第2回中間解析を行った結果、試験薬に効果が認められず、追跡を継続しても想定していたレベルの利益(25%のリスク減少)が得られる可能性はないとして、試験の中止を勧告。2008年10月23日に試験は中止された。中止時点で追跡期間の中央値は5.46年だった。
得られた結果は、一般に用いられている用量のセレンまたはビタミンEは、健康な男性の前立腺癌を予防しないことを明白に示した。そのほか、 肺癌、大腸癌、ほかのすべての原発癌、死亡についても有意差は見られなかった。心血管イベントリスクに対する影響も認められなかった。
原題: 「Effect of Selenium and Vitamin E on Risk of Prostate Cancer and Other Cancers」
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